脳温低下が眠気を誘う
グリシンは非必須アミノ酸の一種です。
脳内の抑制性の神経伝達物質として、末梢神経系に作用し、睡眠に深く関わる成分であるとされています。
体温は自律神経によって調節され、通常は起床時から体温が上昇し、就寝時になるにつれ徐々に低下するサイクルになっており、このサイクルがスムーズに進むことで、入眠を誘うのです。
しかし、自律神経は非常にデリケートであり、現代社会特有の不規則な生活習慣、ストレス、睡眠時間の不足、室温、湿度などにより乱れやすくなっています。
この自律神経の乱れが体温調節を不規則にし、入眠の妨げと睡眠の質の低下につながることが知られています。
グリシンは、体温調節を改善することにより、睡眠の質を向上させることが期待されます。
日本人の睡眠の質が低下
日本は、他の国々と比較して、平均睡眠時間が最も短く、睡眠不足の割合も全体の約3分の1と最多であるため、睡眠時間に関する問題は深刻な社会問題となっています。
さらに、最近の国際科学誌において、平日と週末で睡眠時間帯が2時間以上も異なる場合には、「社会的時差ぼけ」という現象が起こり、睡眠の質が低下することが明らかにされています。
このため、現代人の週末の夜更かしも問題視されているのです。
また、睡眠時間の問題だけでなく、睡眠の質が脳の学習や記憶、健康に大きな影響を与えることがわかっています。
※休日の「寝だめ」は生活リズムを崩す原因となります。
平日からしっかり睡眠時間を確保することが重要なのです
体温と睡眠に深い関係性
従来、グリシンは体内で生合成が可能であるため、不足の懸念は無いとされ、重要視されることはありませんでした。
しかし、2002年の人間の臨床試験において、グリシンを摂取した翌日に体の疲れが和らいだという結果が報告されました。
この偶然的な発見から、グリシンは身体の末梢体温を上昇させ、深部体温を下げる働きを持ち、休息状態へのスムーズな移行、入眠を促進するという作用が注目されるようになったのです。
また、近年の研究では、深部体温が低下することにより、入眠から深い睡眠への移行がスムーズに行われることが明らかになっています。
人間の脳が完全に休まり、脳老廃物の清掃をするのは深い睡眠(ノンレム睡眠)時にしか行われないため、入眠から深い睡眠への移行がどれほど重要かは明らかです。
睡眠が脳機能を向上
自律神経の乱れによって、体温調節機能が不規則になってしまうことがありますが、グリシンの摂取によって改善が期待できます。
グリシンは、現代社会において重要な成分の一つであり、学力社会を担う上でも欠かせないものと言えます。
グリシンは、体温調節機能の改善に加えて、睡眠の質や自律神経の働きの改善にも効果があり、脳の働きの改善にも深く関係していることから、現代人の生活にとって重要な成分なのです。
以上のように、グリシンは身体や脳の様々な機能に影響を与える重要な成分であり、今後、さらに注目されることが期待されます。
※就寝時の体温の上昇は、身体の熱を放出して脳温・深部体温を下げ、身体を寝る体制にするための調節機能